開店躁だん

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DMC最終巻によせて

とりあえず記憶が砂塵と化する前に記する。コミックスを引っ張り出すのもめんどいので、思い出し書き。承前のたうり?、「ベルセルク」連載をお目当てとしてJ氏が購入しているヤングアニマルをお下がり読みし始めたときに、「デトロイト・メタル・シティDMC)」の連載が始まった。最初から連載であったわけではなく、どう見ても新人漫画家の穴埋め原稿にしか見えず、不慣れなコマ割とイタいギャグに、もぞ痒いヨロコビを覚える。これは好きかも!その後少しばかりの紆余曲折を経て、晴れて連載枠ゲット。

当初はネタにも困ってそうな、4コマ風展開だった。こりゃ作者相当頭抱えてるっぽいなと思っていたところ、今考えたら編集の腕としか思えないのだが、少年ジャンプ風にフロシキを広げ始め、オシャレ四天王だの、メタル・トーナメントだの、「次号につづく」展開が見え始めた頃から、俄然話が面白くなってきた。

と思ふのはわたくしだけでしょうか。まあいいや。わたくしはもともと小ネタ風味の頃からのファンなので、話がジャンプ風にマスに向かって走っていくのも、これまたよかんべと楽しく読んでおりました。

それがまあ、あそこまで頂点を極めるとは!松山ケンイチ主演、松雪泰子助演と、芸達者な俳優を起用しての映画化。ファン・イベント。アニメ化。トリビュートCD(確かカエラも入ってたな)。何がおもしろうてと思っていた周囲層は厚いと思われつつ、ジャンプ風手法と、くだらねー的設定のコンビネーションが功をなし、一躍スターダムに。

しかし、映画化を頂点として、徐々に徐々にシュリンクしていったものと思われる、最近の展開。一度広げた風呂敷は、ベーシックな力でもって制するしかないところ、無名新人がここまできてしまったところに、編集の腕をもってすら、後フォローができなくなっていたと思われる。しかし、映画化から2年。よく続いたものだ。映画化以降アニマルを購入しなくなっていたので、最近は特に追っかけ意識はなかったものの、ここ久しぶりに最終に向けての一連の流れを確認した。メタル・マジ路線(=スポーツ物)で終わるんだらうか。

世界の中田を頂点とした「自分探し」が死語になりつつある頃に始まったDMC。「僕のやりたいのはこんな音楽じゃない!」と心の中で叫びつつ、いざステージに上がると結果的にアドレナリン大放出してしまう主人公、根岸崇一。いそうで絶対いないキャラであるのは一目瞭然。だって、自分のやりたくないことで、まず事務所メンバーファンの全てに納得いく結果を出すのは不可能だから。普通なら、やりたくないと言いだすのは、ある程度自分の好きなことで評価されてから。クラウザーになれない根岸青年は、世の中にいくらでも存在する。絶対いないキャラであるのは、漫画(しかもギャグ漫画)だから当然として、彼のメタルに対するアンサーがどう出るか、そこが最終話のテーマであるのは間違いない。適性と嗜好は明らかに別物。そう割り切れることができれば、根岸青年は、仕事=メタル、趣味=カジュアル・ポップスとして、心的二面をクリアすることができる。根岸はクラウザーであり、クラウザーは根岸である。お互いにその一部を容認することができるのか。自分探しに終結を打てるか。ゴッドを制した今、彼の心によぎるのは何なのか。

なーんちゃって。前振り、アツくなってしまいました。
好きなエピソード第1位:デズム。彼らを応援するマスターのおっさんに共感。あんなおっさんにわたしはなりたいです。
第2位:アートキワ荘。タイトルがアレのパチモンであるのは歴然としてるが、ハチクロのパクリのやうな爽やか路線が一服の清涼剤に。文化系なかよしクラブはいつの世も健在。
第3位:サジヒデキ。ほんまもんのカジヒデキが「甘い恋人」を作ってくれて、カジヒデキ本人が、くねくね踊り熱演してくれたことに感動。これは映画あっての第3位。

最終回まで、残り2話。買っちゃうんだらうなあ。。ゴートゥーDMC!ゴートゥーDMC