開店躁だん

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こんなハルモさんは嫌だ〜リア王篇〜

dannori2018-08-23


〈Introduction〉
来る9月5日にアルカフェにて開催予定のハルモ生誕祭に向けて寄稿しました。てへ。

9/5(水)第40回ハルモ生誕祭「2度めの成人式」
https://www.facebook.com/events/2048678771883609/

〈予告編〉
コマデリアに求婚するため隣国から訪問したタダ王子。歓迎の宴でコマデリアが突如リア王にお父様の元を離れたくないと懇願。これまでの溺愛が原因かと反省したリア王はコマデリアに激怒!一方、コマデリアお付きの侍女おみゆさんがタダ王子に一目惚れしちゃって、さあ大変!←こんなハルモリア王は嫌

〈本編〉
コマ「私は生涯お父様の元を離れたくありません。嫌ですいやです」
リア「タダ王子との婚姻はお前が生まれた時に隣国のシアン王と交わした約束なのだ。両国の平和のために欠かせない」

泣くコマデリア。タダ王子「まあまあお父さん落ち着いて。ここは1曲僕が歌いましょう」
唐突に「銃を鳴らそう」を歌いだす。不吉な!(笑)
コマデリアの傍に立つ侍女おみゆさん「なんて素敵な楽曲なんだろう。この方の唄をもっともっと聞きたいわ。素敵☆」

コマデリア「まあ!おみゆったら!わたしと生まれた時から乳兄弟として音楽を囲んできたのに、こんな方にあっさりやられちゃって!」
ますます泣き崩れる。リア王ついに激昂する。「こんな我儘娘は塔に軟禁しろ!しばらく反省してなさい!」」
衛兵に連れていかれるコマデリア。

リア「さあ宴はおしまいだ。タダ王子、今宵の無礼をどうかお許しを。寝所にご案内します」
タダ王子退出。おみゆ、うっとりと眺め見送る。ああ、あの方をもっともっと知りたいわ。ギター出して「あなたをもっと知りたくて」を歌う。

それぞれの思惑で見送るふたりがいた。宰相すうじぃ「この政略結婚が成立しなければこの国はおしまいだわ」
道化アルカフェ「あーあ(何も考えてない)」
タダ王子寝所。ドア外で中の様子を伺うおみゆ。中に話しかける「タダ王子!タダ王子!コマデリアです。お話がしたくて来ました!」

中から話し声がする。耳をすませばタダ王子の声。スマホ通話ちうのやうだ。
「いや〜あの娘なかなか手ごわいけど、侍女を使えば何とかなりさうだよ。パパ。さっさとコマデリア連れ帰って
そのあとでマゼンタ国に攻め入ろうよ。娘がこちらの手中なら条件を呑まざるを得ないでしょう。HAHAHAHAHA」

なんて陰謀なのだらう!おみゆ、タダ王子への恋慕が憎しみに反転。「このおみゆさんが、月に代わっておしおきよ!」
再度、中に向かって声をかける。「タダ王子!コマデリアがやってきましたよ!開けて!あけて!」

タダ王子、ドアを開ける。「なんだ侍女のおみゆさんか。どうしました?コマデリアは無事ですか?」
おみゆ、ポーズ決めて「愛と正義の、セーラー服美少女戦士、セーラーおみゆ!月に代わっておしおきよ!」

ムーンライト伝説」を歌う。1番終わったあたりで、騒ぎを聞きつけたタダ王子お付きの面々に押さえられる。
おみゆ「あ、待って!2番まだある!」
タダ王子「やはりこの侍女は使えるな。やったね」

一方、塔に軟禁されたコマデリア。深く嘆息しつつ「ああ、わたしはどこに向かえばいいのでせう。。」
と、ノックの音が。こんな処に誰が来るのかしら。
コマ「どなた?」
「おれおれ」
その声は、道化アルカフェ!?

アルカフェ「開けるね〜♪」ドア開けてアルカフェ入る。
コマ「まあ!門衛たちはどうしたの??」
アル「今、下で一杯引っかけてきたんで、みんな寝てるよ〜。はい。これ、鍵」
鍵を渡したアルカフェもだいぶ酩酊状態のやうだ。

アル、塔の窓を指さす「ねーねー。あそこから入ったことにしてカリ城ごっこやらうよ。クラリス〜」
コマ「………(めんどくさいなー)」
アル「こないだESPでK1さんから手品仕込んだんだ。見て〜みて〜」
旗をくるくる出してみるけど、途中で引っ掛かる。アル「あれ?こないだうまくいったんだけどナー」

階下から足音がしてくる。アル「あ、やべ。下から出る暇なくなっちゃった」
コマ「もー!どーすんのよ」
アル「窓から出りゃいいよ。作者だから何とかなるべ。あは!買った手品セットにひもついてたし」
窓開けて窓枠に紐を結び付ける。端をふたりで握って飛び降りる。落ちた場所はご都合展開で藪の中。

アル「あたた。じゃ、お姫様、またあした〜」
コマ「ちょっと、あたしのお世話しないの?」
アル「いろいろ忙しいんで、じゃあね!」猛ダッシュで見えなくなる
コマ「んもー勝手なんだから。。」そそと立ち去る。

時は同じくして王宮。リア王の傍にすうじぃ宰相が控える。
リア「のう。わしはチーツーのふたりと同じくアレに接してきたつもりだが、なぜかくも意固地な娘になってしまったのだらうなあ」
すう「コマデリア様は中でも人一倍繊細な方でございます。お父君のことを案じられてのことなのでしょう

すう心の声(この国の財政知ったらさらに腰抜かすけどね!)
さう。マゼンタ国はリア王の音楽趣味で国庫がだいぶ持って行かれているのである。
すう「明朝、もう一度きちんとコマデリア様とお話合いになられては」
リア「タダ王子のご機嫌も確認しないとのう」

それぞれの一夜が明けて、翌朝、王宮にて。
リア王、タダ王子との謁見を待つ。
衛兵「タダ王子がお見えになりました」
騒がしい足音と共にタダ王子登場。引き連れているのは。後ろ手に縛られているおみゆさん。

リア「タダ王子!その者はいったいどうしたのです?おみゆさんが一体何をしたと言ふのですか?」
タダ「わがシアン国に対する国家罪ですよ!“月に向かっておしおきよ!”と、この者が叫びながら私を暗殺しやうとしたのです。
娘婿にならんとす者に対する仕打ちがこれですか?リア王どの!」

おみゆ「違うのです!これには深いわけが。タダ王子、いい曲歌うのに性格悪いのよね。それでもカヴァーさせてほしいと思った曲が実はあるんですが略」島林アワーが収拾つかないのでリア王遮る。
リア「待て待て、状況が分からないぞ。わたしは一体どうすればいいのだ!」

「待ってください!父上!」コマデリア颯爽と登場。リア王不思議さうに見る。リア「お前。どうやって塔から出たのだ」
コマ「それは後で説明します。おみゆは私のことを慮り行動してくれたのです。わたしがお嫁に行きたくないと言ったばっかりに。でも決めました!わたし、お嫁に行きます!」

コマ「瀬戸の花嫁」を熱唱。コマデリア、タダ王子に向かい「不束者ですがよろしくお願いします。」
タダ王子「(不思議な流れになってきたけど、まあいいか。こちらの当初思惑どおりだし)あ、はい。こちらこそよろしくお願いします。」

全て丸く収まりさうなまさにこの瞬間。外から猛烈な歓声が。
リア「ん?何だねあの音は」
すう「!!!!!」
すう内心の動揺を隠しつつ、外への扉を開ける。眼前に広がる何百万の民の声である
コマ「ん?なんかバーバーって聴こえる。。。」
バーバーショッパー民の声である。これは暴動なのか!

バーバーバーバー バーバー バーバーバババー
ネヴァー・エンディング・レイジー・デイ・イントロである。
リア「これはどういふことだ。首謀者は誰なのだ?」
すう「いや、、私にもさっぱり。。様子を見にやらせます」
何人かの衛兵が出ていく。

すう心の声「(私が合図をしない限りあの民が動く筈はないのに、なぜ?)」
ネコ耳宰相すうじぃは、こたびの政略結婚がNGだった場合、完全に国家破産を見越していた。
その責を問われ罷免される前に、バーバーショップ・クーデターを起こし
ハルモ王族に退位を迫る計画だったのだ。

宰相の裏の顔はバーバーショップ女性団体「ハーモニクス党」のリーダーでもあった。
外に出た衛兵はかたはしからバーバーショッパーを捕まえて尋問している。
衛兵、目立つ男ふたりを捕まえる。まず、くるくる踊っていためがねの男に
衛兵「お前がリーダーか!?」
眼鏡「いえ、マネージャーです」

衛兵もうひとりのマッチョ男に向かって
「ではお前がリーダーか!?」
マッチョ「いえ、あの、ぼく、だんさんにたまたま呼ばれて来たんで、あの、その」
すう心の声「(あいつか!!!!!!)」

すう、遠方に見える道化アルカフェを睨みつける。
アルカフェは民衆の中でウェ〜ブしている
アル「わあいわあい!みんなバーバーになあれ!バーバーバーバー」

動揺するすうじぃ宰相を尻目に、リア王「困ったな、これはなんとかしないと」
コマデリア、リア王の横に立ち
「お父様、ご心配なく。私は私のやるべきことを見つけました。見ていてください。これからの私を」

コマデリア、2階ベランダに出て民衆の前に屹立する。バーバー歓声はそれでも止まらない。
すうと空気を吸いこみ開口大音量!
コマ「みんな!コマデリアは変わりました。この国のために生きていきます。これまでの引きこもりがちじゃない、これからの私を見てください!」

コマ「僕は薔薇より美しい」熱唱。一同清聴。「ああああぼくはーーー変わったーーーー」
最後のロングトーンにバーバーショッパーたち大きな歓声を上げる。
コマ心の声「(決まった..)」しかし演奏後、さざなみのように聞こえてくる声が。

ざわざわ「俺たちだって変わりたいよな。」「コマデリア様、歌うまだけどさ確かに」ざわざわ...
立ち尽くすコマデリア姫の肩に、リア王すっと手を置く。
リア「ありがとう。コマデリア。その言葉だけで充分だ。」
リア王、さらに一歩前に踏み出す。誰しもが固唾をのんで見守る中。

リア王アカペラで歌いだす

As we stroll aloong together holding hands, walking all alone
So in love, are we two that we don't know what to do, So in love in a world of our own.

バーバーショッパー民のざわめきに変化が。
「この曲おれ知ってる」「バーバーショップの曲でもあるんだぜ」「うわ!なつい!学生のとき団内カルテットで歌ったわ〜」
「ヤマタツだろ?」「リア王って荻窪のヤマタツだったらしーよ」「ヤマタツのアカペラCD持ってたわ〜」

だれかのつぶやきが聞こえる「ドゥーワップだってバーバーショップだって元は同じ源流なんだよね」
いつしかリア王の歌に混ざってコーラスをするやうになる。

So in love (So in love)
So much in love (So in love)

リア王のソロとバーバーショッパー民のコーラスがひとつに混ざったその瞬間。
最後のリア王ソロが入る。

So in love are you and...

リア「I〜」

テナー「リア〜」
リード「リア〜」
バリトン「リア〜」
ベース「王〜」

エンディング直後、大歓声に包まれる。「リア王!」「リア王!」「ハルモ国家万歳!」「コマデリア様万歳」「チー姫様ツー王子様万歳」
バーバーショッパーの興奮は冷めやらず、マッチョ男がTagハラスメントをあちこちで教唆している。めがね男はくるくる踊ってる。

すうじぃ宰相、こっそりと猫耳に手を当てる。猫耳部分が通話機器に。誰かと会話しているやうだ。
すう小声で「ちょっと、だん!この騒ぎあんたのせいでしょ!何とかしなさいよ!」

バーバー・ウェ〜ブ中の道化アルカフェ。かぼちゃ帽子から通話機器を取り出して
アル「あは、ごめんごめん。そろそろ収めるわ〜。あーたのちかった」
アルカフェ、おもむろに赤いメガホンを取り出し天に向かって叫ぶ!

「あと3分で閉店でぇええええええええええええす!」
バーバーショップ民が一瞬歌い止め、静かなさざなみに変わる
ざわざわ「とな中」「とな中」「とな中」「とな中」
瞬く間に民の塊が王宮から遠ざかっていった。

そして静まり返った王宮。皆、バルコニーより宮廷に戻る。
リア「わたしは今まであのように沢山の民によって国家が支えられていることを顧みなかった。これからは民のために生きよう。
すう宰相、まずはあの素晴らしいバーバーショップ・コーラスを国で支えよう。国のために働いてほしい。採用しよう」

すう「ぴきっ!(国庫破産)」泡食って卒倒。
タダ王子、おみゆさんの縄を解き、リア王の元へ。
タダ「リア王、わたしは貴国を誤解していたのかもしれませぬ。このような素晴らしい国と和平を結ぶのに縁戚に頼る必要はありません。わたしはひとりで国に帰り
新たな和平の方向を模索してみたいと思います」

タダ心の声「(あれだけの民が動かせるマゼンタ国は手ごわい。父君シアン王には戦略の変更を申し出よう。音楽による和平は案外両国を強くするのかもしれないな)」
コマデリア、おみゆの手を取り、「これからもわたしを助けてくれるわね。よろしくね」

おみゆ「コマデリア様こそ、わたしを庇ってくださって、うっ(なみだ)」
タダ「おみゆさんのアニソンもなかなか良かったよ。今度はオリジナルも聴かせてね」
リア王「さあ、そろそろお昼にしようではないか。チーツーも待っている。音楽談義はそこで盛り上がることにしよう」

エピローグ:

リア王の文言どおり、バーバショッパー団体は国家公務員となった。既存の衛兵隊もバーバーショップを嗜むようになり
歌で国を守る軍隊として世界的なトピックとなる。記念式典にはバーバーショップ・コーラスが必ず披露された。

コマデリアは乳兄弟おみゆさんと「こまみゆ」といふデュオを作り、コマデリア主宰短歌サロンで人気を博する。
リア王はタダ王子他、イエロー・ブラック各国の王と遠隔ユニットCMYK(各国の頭文字を取る)を組み、これも国家的話題となる。

肝心の財源は、といふと、すう宰相の奔走により、音楽デジタル配信事業を本格的に展開。
マゼンタ国は小国ながら、音楽国家として繁栄を極めることになるのだった。

とある昼下がりの宮廷。

コマ「お父様宛てに手紙よ」
リア「どれどれ」

封書の中身は下記のようなものであった。

****

RE:アルカフェ開店のお知らせ

道化アルカフェです。いつもお世話になっております。

過日は大変お世話になり有難うございました。退職願も出さず無沙汰をお詫び申し上げます。

このたび諸国漫遊の末、荻窪にて音楽カフェをオープンいたしました。
つきましてはハルモ王族のみなさまにはぜひご来場頂きたく
招待状を送らせて頂きます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

だん@アルカフェ

コマ「あーあの人騒がせなアルカフェね。お父様どうなさいます?」
リア「まあいいじゃないか。みんなで行ってみては。ではちょっと一休みしてくるよ。」

リア王、ひとりでバルコニーに立ち、景色を一望しながらカメラ目線で
「こんなハルモ・リア王は嫌いですか?(笑)」
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出演:

リア王:ハルモ
コマデリア:こまき
タダ王子:タダ
おみゆさん:みゆき
すう宰相:すうじぃ
道化アルカフェ:だん

友情出演:
マッチョ:みうら
眼鏡:じょるの

脚本、演出、監督:だん(やらないよ!w)

エンディング曲:ハルモ「太陽と暮らすシトラス