『ジャガーになった男』。伊達政宗の臣、支倉常長の遣欧使節の一員として渡欧した男の波乱万丈な人生を綴る。最初の数ページは文章がカタイ傾向かと思ったが、読み進むとあっというまに惹きこまれる。この人の感性は手塚治虫だなあと思う。ちょっと珍しいくらいにグローバル&ヒューマンな感覚なのだ。やや人物が類型だけど、最終的には構成で成功している。いや、やっぱりこの人面白い。西洋歴史小説といふ地味ジャンルの中で若手では第一人者になるのは間違いなかんべ。藤本ひとみの表現得意とするは女性のたくましさ、かたや佐藤賢一は男性の可愛さ、といふところなのだろうか。また別ネタ借りてこよう。もふふ。
それにしてもデビューがすばる新人賞。すばる新人賞受賞者顔ぶれは他には、花村萬月、篠田節子、藤水名子、村山由佳。ほうほう。みなさんヒットしてますな。がんばれ佐藤さん。