開店躁だん

荻窪アルカフェの店主だん@佐々木典子です。◆アルカフェYouTubeチャンネル https://goo.gl/ZPrzvv ◆アルカフェE-mail dan@alcafe.deca.jp◆アルカフェWEB http://alcafe.deca.jp ◆Twitter https://twitter.com/alcafe_ogikubo ◆Facebook 荻窪アルカフェ https://twitter.com/alcafe_ogikubo ◆Facebook 佐々木典子(檀上) https://ww

山崎蒸留所&神戸

山崎の地

さて、記憶が薄れないうちに旅日記だす。フォトアルバムはmixiで作りましたので、mixiやってらっしゃる方はそちらでお写真もどうぞ。全体公開だす。

山崎蒸留所&神戸mixiフォトアルバム)

さて前段。出かける前日の月曜は普通に出勤。日曜夜に店早上がりしてリコバンド飲み会に乱入して、何故か二次会カラオケで午前様帰宅。死に体でオフィス仕事。これで翌日起きられるのか!?J氏も羽田集合が早いらしく、一緒に起きようと誓い、目覚まし3個セットして就寝。

早朝5時。さすが遠足。無事2人とも起きられました。お天気がいまひとつなのは、今さらどってことなし。降ってなければ上々。東京駅で別れてじいさんは新橋へ、ばあさんは新幹線車中の人になりました。7時10分時刻どおりに東京駅発。ビイルも呑まずに熟睡。

京都で降りて在来線快速に乗換。京都ではいつもKAJa!のことを思い出すが、今回は10分の乗換時間なのでひまなし。家(寺)へのお供え京菓子だけゲットしておいた。山崎まで15分。山崎蒸留所の住所は大阪なのに、京都からの方が近い。意外なことよ。

薄曇りの中、山崎下車。駅は小さいが、なかなかの風情。水が豊富らしく、側道の水もきれい。山崎蒸留所の→旗が街灯にぶら下がっている。偶然だらうが、山崎旗の上に居酒屋山ちゃんの看板なんかあり、いとをかし。山崎の山ちゃんてわけでは、、、実はあるのか?なぞ。普通の民家の前に何故かお狸様がご挨拶されてたり。旅の出逢いもまた愉し。

徒歩10分。線路向こうに見えてきました。山崎蒸留所。歩いて行けるのは便利だすね。2年前(この時も天気は曇り雨)の白州はタクシー片道2000円で、しかも専用バスは走っていない。あれに比べたら個人客には有難いことだ。サントリーweb地図も分かりやすく迷う余地はなかった。この時点で10時。ご年配のスタッフさんがちゃんと入口で案内をしてくれている。受付場所に行って事前に申し込んでいたセミナーのエントリーをする。セミナー集合時間を案内され、しばらく時間があるので館内外を散策。竹林は風情がありますねえ。山崎ウイスキー館1Fには、歴代ウイスキー展示や、7000本のボトルが並ぶウイスキー・ライブラリーが。広大な理科実験室のやうです。同じフロアには円形のテイスティング・カウンターもあり、愉しげ。2Fの集合場所で2000円の参加費を払い参加証をもらう。一般無料コースの案内が始まった後に、そのあとからついていく形でセミナーが始まった。10時半スタート。無料コースの方はベビーカーを押すファミリー層が多かった。今回参加の有料セミナーは私のやうな1名参加や、熟年夫婦といった感じ。1名参加の顔ぶれは、これは店屋さんだらうなと思ふファッショナブルな若い人も。もちろん私のやうな(そして酒井順子のやうな笑)優雅なおひとりさま旅の方もいるやうだ。

おそらく工場見学は無料も有料も同じ内容。(1)仕込み・発行(2)蒸留(3)貯蔵と、移動案内を受ける。白州でもそうだったが、(1)はカストリ酒を煮詰めたやうなにほひが充満。気分が悪くなった方は言ってくださいとアナウンスも。4m直径の木樽(こういふの見ると日本酒の蔵元みたいだすね)がずらり並ぶ。木樽とステンレス樽を使い分けているやうだ。木だと自然の乳酸菌が働いて、味わい深くなるんだとか。あと、大事なのは、水。山崎は桂川宇治川、木津川の合流地点で水が豊富。盆地で湿潤と、日本で最初に作られた蒸留所だけあって、鳥井さんのこだわりが感じられる。広大な敷地の森の蒸留所、白州とはまた異なるんだなあ。白州は東京ドーム何個ぶんかの広さだったけど、山崎ははっきりいって広くありません。徒歩ですぐぐるり回れちゃいますよ。意外に小さい。でもこの敷地にサントリーウイスキーのプライドが詰まっているんだ。

(2)蒸留はよく雑誌なんかに写真載るところ。黄金のしびん、ちゃう、ポットスチル(単式蒸留釜)を使って2回蒸留。しびん(をつい連想しちゃうんだなあ、、)の形は全て異なり、長いのもあれば短いのも。大小もさまざま。蒸留のスピードも形で変わるんだとか。ストレートにばしっといくか。長期熟成じっくりいくか。使い分けてるんだって。へえぇ。へえ〜。そうそう(2)で香りは(1)のカストリからがらっと変わって、フルーティーな(隣のひとは林檎みたいと言ってたな)香りが漂ってます。うん。いいねえ。酔いそうだすねえ。

(3)貯蔵。ここで暮らしていたいと思ふくらいに、すんばらしい芳香。これラリリますねえ。多分ずっといると人としてだめになりそう。うとり。樽の種類もいくつかあって、素材、形が違うらしい。オーク(樫)でも、ホワイトオーク(北米)とミズナラ(日本産オーク)で違うんだとか。この、ミズナラは後で試飲させてもらうのだが、実にオリエンタルムード。ちなみに、山崎の初代樽はシェリー樽。シェリーは樽の側面に穴があってそこに栓してることから、初代さんは栓(でべそ)樽なんだす。へえぇ。確かに初代さん以外の樽はみんな平たい側面だぞ。でべそ権威。

(3)貯蔵庫を出て、再びセミナー会場へ戻ります。隣には神社があったり、ほんと、日本的なところだなあ。さて、お待ちかねテイスティングセミナー会場中央にはスライド。藤井工場長のご挨拶の後は輿水チーフブレンダーのテイスティングと同機してわれわれも。工場長は1984年入社だって。そっか。そういう年齢の方が長になるのだな。チーフブレンダーは1949年入社だすって。このチーフブレンダーはカリスマで、さまざまな海外コンペ入賞の立役者なのだ。お名前はよく聞くよね。予習のために図書館で借りた「ジャパニーズ・ウイスキー」本でも、茂木健一郎と対談していたのは、この方だした。

わくわくテイスティング。もらったマニュアルとスライドを観ながら、ブレンダーの役割、樽の種類、テイスティングお作法など学ぶ。テイスティンググラスはブランデーグラスのやうに底に丸みのある薄いグラス。テイスティングお作法。(1)色を見る(2)グラスを軽く廻す(3)香りをかいでみる(4)加水する(5)口に含んでみる

そう!驚きましたが、いきなり原液を口に含むのはNGなのだす。色は樽によって違うから。グラスを廻すのは香りが立つから。水を入れるのは、さ・ら・に、香りが立つから。うそぉと思いましたが、確かに水入れる前よる入れた後のほうが香りがはっきりする。そして刺激がやわらかくまろみを帯びたものに。

テイスティング内容。(1)ニューポット:蒸留仕立ての無色透明。度数70度(2-1)山崎12年構成原酒:ホワイトオーク(2-2)山崎12年構成原酒:シェリー(2-3)山崎12年構成原酒:ミズナラ(ジャパニーズオーク)(3)山崎12年(シングルモルト)(4)響17年(ブレンディッド)(3-2)山崎12年ハイボール。以上を輿水さんと一緒に飲んで行く。(2-1)ホワイトオーク、(2-2)シェリー、(203)ミズナラは樽の種類が異なるが全部12年寝かせた原酒。(1)ニューポットのどうしやうもなくカストリ酒はともかく、(2-1,2,3)からウイスキーとしてなるほどと思った。(2-1)ホワイトオークは北米樹種。ホワイトオークの中でも樽の形がバーレル、ホッグスヘッド、パンションと3種あるのだが、それは割愛。ただ、パンチョンって名前は面白いと思う。山崎パンチョンってなんか昔のコメディアン芸名みたいではなかですか。気に入った。

で、(2-1)ホワイトオークに話を戻せば、とてもベーシックな味。落ち着いた、どっしりしたイメージ。これで50度なんだすって。加水すると樹の香りがUPした。甘味もあり爽やか。(2-2)シェリー樽は、マッカラン好きなこともあり、好み。原液のままだとちょっと紹興酒に似ていると思った。加水すると、ドライフルーツやケーキのやうな甘味も感じられる。飲むと酸味も。(2-3)ミズナラは今まで味わったことのな感じ。ユニーク!中国茶やお香といふか、複雑な香り成分なのだ。これはおもしろいなあ。

3種の原酒をテイストして、山崎12年。ああ、この原酒をさらにブレンダーが整えてこういふ洗練された味になるのね。ちょっと感動。酒の旅は12年。フルーティでもあるが、余韻に苦みが。そして響17年。実は響初体験。シングルモルトラヴァーなのでね。でも、ちょっと認識改めました。年とっていくとともにブレンディッドも経験しとくべきかと。穀類もとうもろこし、ライ麦が入っているらしい。とてもバランスの取れている感じ。

そのあと、山崎12年ハイボールをそれぞれ作ってみる。はいグラス縁まで氷。まぜたら氷足して、ソーダはゆっくりと。落ち着いてやります。はい、しゅるる。贅沢なハイボールだな。それにしても。つまみと合わせてみる。さて、とらやの最中は何に合うかな。響17年が意外に合いました。へえ。ドライフルーツとナッツが入ったチョコバーは、シェリー原酒を水割りにて合わせてみました。うん。いける。山崎ハイボールは普通にナッツと。おかきは、、、合わせ悩んで結局持ちかえり。たはは。

そうそう。向いの酒井順子さんみたいなおひとりさまとお話したら、どうやらあちらさんも東京からだとか。白州にも行かれてるみたいで、マニア向けセミナーであるなあと。2000円は実にバランス取れた価格設定かと。終了後のお土産はテイスティンググラスでした。

ファクトリーでお土産買ってから、テイスティングバーへ。セミナーで出てきたニューポットは100円、3種の原酒は200円でした。期間限定の山崎パンチョン(ね、名前インパクトあるでしょ)、白州なんとかなどは300円。さらにクラス高いのは500円。テイスティンググラスに1目盛。チェイサーといっしょに飲む。そこでまず一気に煽ったわたしはがくしうのうみそがありません。飲む前に加水しろと言ってたじゃん!

むせました。しゅるる。

そして神戸。山崎から三宮へ。ロッカーたまたま荷物出すひといたから良かった。観光地なんだなあ。。三宮センター街を歩くと高校時代の忸怩たるグレーな時代がオーバーラップして息苦しくなる(酔っ払いだからだとも思うが)速足で通り抜け、元町の海文堂書店で我に帰る。まだあったんだ。この本屋。この本屋で「三国志」「佐武と市」「モンテクリスト泊」「ドンキホーテ」「シュマリ」など、漫画も小説もいっしょくたにのうみそに流し込んでいた時代。2Fにはアンクル船長の置物と船の模型が確かあった。今はアンクル船長はいないけど、海洋本がたくさんあった。そう海の本の出版元でもあるのです。海文堂書店は。アンクル船長は商船三井のイラストを書いていたからだそうで。1冊記念に買いました。この町を出るには勉強して東京の大学行くしかないと思い込んでいた暗い冬の時代。灯台のやうな書店だったのだす。

のうみそがちょっと戻ったところで、メリケンパークへ。B級グルメフェスタみたいです。行列はスルーして買い食い歩いていたら、雨。震災メモリアルパークへ。傾いた街灯をそのままに保存。あの瞬間、わたしは東京のオフィスでテレビを見て固まりました。そのあと避難所の友人から力強い電話をもらったり、家の苦労など聞いていたのに、実家が無事で、友人たちが無事で、そのあとは帰ってくるたびに灰色の街を見るのが辛くて、いつのまにか神戸を素通りするやうになりました。

すまなかったなあ。。そして、こんなにこの、花の匂いがする町が好きだったのに。好きでないと思い込んで20年余り。もう一度好きになることができてよかった。そしてちゃんと悼むことができた。希望の灯りの前には、新しい花束が。いつも新しいのだと思います。瞬間を刻んだ時計台の後ろには緑の公園があり、デートするカップルが写真を撮っています。復興の重みを感じるとともに、生きるために力をどうか、と祈りました。前に進むことは生きていくことだと思います。災厄元年。ナウシカの世界だなあ。。ん?セカンドインパクトも入ってる?

酒と心の旅はこれでおしまい。実家に戻って1泊して帰りました。帰りは姫路から駅そばカップメンはまだ発売されてなかったのがちょっこし残念。

おまけ。2年前のGWで訪れた白州蒸留所レポはこちら。どうもあちらは東京ドーム26個入るそうです。ひゃあ。樽の温度管理は山崎もしてないそうだすよ。

白州蒸留所レポ