開店躁だん

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トライトーン10周年ライブ

先日足を運んだばかりの目黒駅。久しぶりのブルースアレイ(BAJ)、日本有数の実力派アカペラ・グループ、トライトーン10周年記念ライブなのだ。19時過ぎに会場に到着すると、いきなり黒服さんに「当日券ですか?」と声をかけられる。どうも当日券が刷けているらしい。2ヶ月前からの予約なので、普通に席をご案内してもらう。おお会場ゲロコミ。満席どころか立ち見も10名ほど。Cubixのベース君に声をかけていただく。同伴の女の子は長年のアカペラファンのようで、初回や先月の上州も見て頂いたとか。来月の静岡にも足を運ぶらしく、機動力に恐れ入る。さて。さすがの早予約のおかげで案内してもらった席は正面の良い位置。BAJはでかい柱が客席内に1本あり、この柱のところについた日にゃ、ステージはモニタ越しにしか見えないのだ。あれ?以前は控室だったスペースを客席にしている。カウンターとテーブル席が増強されている。全体にかなりテーブルと椅子の距離を狭めて、少々手狭になっているが、その分席数は増えている。繁盛だすな。元・控室のカウンターに知人がいたのでご挨拶がてら出張。ふむ。位置が高いのでステージ全体を横から鳥瞰できる。ここなんとなく贅沢席ですね。会場には合唱方面の知り合いがちらほら。アカペラでは今度熊本遠征でお世話になる、紗織んご夫妻がちょうど背中合わせ席だった。Cubixの若手ベースくんは立ち見。若いなあ。

ちょい押しでスタート。全員、白基調の衣装で、女声2人はドレスアップ。オープニングはおなじみ「Over the rainbow」続き久々?「Change the world」。得意技でしょっぱなからぐいぐい引っ張っていく。今のメンバーになって10年といふ節目。MCでは、10年間のおもひでといふことで、現メンバア初めてのお仕事が日帰り北海道で、2ndアイカちゃんが飛行機に初めて乗った微笑ましいエピソードなど(機内で靴を脱ぎスリッパを履くと思っていたとか笑)。懐かしいオリジナル「One Fine Sunday」「Sonnet」なども。「Sonnet」は万年筆のCMで使われていたので、その辺のエピソードもMCに盛り込まれる。それにしても、10年だすか。。「いつの日か僕らが終わる日が来ても 通り過ぎた歌は 消えはしないだろう」リーダー多胡さんのフレーズが心に染み入る。わたしは前職が旅行業界なので、音楽業界とどこか共通な思いを持っているのだが(どちらもある意味水商売)、形なきものがどのように残されていくのか、残していくのか。通り過ぎるもの、つまり「その場の瞬間」の鮮烈さが全てなのだ。「形なきもの」を残したい。わたしの未来の職業もかくあるのだろう。瞬間のひとつひとつが大事に残される、そんな場を提供したいものだ。

4th&ヴォイスパーカッション、カイチローくんのおなじみ「オトマネ」コーナー。10年前からやっているネタがほとんどのようだが、一番好きなのは「ラジオ」。ラジオデイズな世代にもたまらないだろう。女声2人ユニット「アイチー」で中島みゆきの「時代」。先日のTBショウでの「Over the rainbow」のように、2声ソロから始まり、繰り返しサビメロが5声の字ハモ(同じ歌詞を全員で歌ってハーモニーを作ること)に開いて行けば、さぞ効果的だろうと想像する。ラスト曲は「島唄」。これも曲の力が強いなあ。サビの力強い字ハモ。やはりアカペラは字ハモだす。

2ndステージ。衣装はラフ・スタイルに。ベース青木さんは両ステで帽子着用。すっかり衣装の一部なのだすね。派手なジャズ曲「Sing sing sing」かっこいい〜。「Clear day」はいつもラストの「アカペラでいこう」つなぎのショートバージョンだが、この日はフルで聴けた。これもネタとしてはいいなあ。青木さんの新曲オリジナル「くじらのおやこ」。笑える〜。くらげ第2弾だすね。この日のなかで最も琴線ぐぐっときたのは「We are all alone」。11月発売の新アルバムを制作中とのことだが、タイトル(仮)は「70's lovers collection」らしい。70年代の名曲カバーとのこと。その中の収録予定曲のようだが、新しいアレンジだった。出だしは全員の声が溶け入るようなハーモニー。コーラスとは自己がなくなる瞬間を志向することと思えるような、繊細な優しい響き。PAバーブが少々ハウっていたのは残念だったが。さしずめverseが溶け込む和音なら、続くchorusは外に開く開放のハーモニー。topちづるさんのヴォーカルが高く響き渡る。コーラスの、ひいてはアンサンブルの、両方の魅力(収斂と拡散)を一度に味わえる、良アレンジだ。後半の開放部分は、構図が美しすぎて涙が出てきた。10年でこの地位にいるトライトーン。今聴けて本当に良かった。メドレー・コーナー。メドレー3タイプの中から本日の演奏曲を人気投票によって決めるという、お客さん参加型スタイル。①ゴールデンシネマ・メドレー②アニエンドレー(70年代アニソンのエンディング)③ラテン・メドレー。②③僅差で②起用。いやあネタばれするので詳しくは語りませんが、抱腹絶倒、でもキメどころはバッチリ音楽的充実も。ほどほどマニアック構成(わたしの世代なら全部分かります)。客席は大盛り上がりになったところで、最後の1曲は毎度おなじみの「アカペラでいこう」前半は客席もいっしょに歌わせてもらい、ステージとの一体感を味わう。アンコールは「Take the A Train」「星に願いを」。

これからもトライトーンの歌は残り、語り歌い継ぐコーラス人も後を絶たないでしょう。祝・10年の軌跡。もちろん、ネクスト10年のトライトーンの飛翔をさらに期待。