【作曲覚書】栗原寛 第四歌集『鏡の私小説』より
短歌組曲「鏡の中の月と星」(短歌 栗原寛 作曲 佐々木典子)
♪お初出し動画(短歌朗読、コーラス:栗原寛)
https://youtu.be/AHUlbfCgQPE?t=2526
栗原寛 第四歌集『鏡の私小説』より
短歌組曲「鏡の中の月と星」(短歌 栗原寛 作曲 佐々木典子)
きみと僕
をんな・をとこ
そのひとは
白をかさねて
月と星
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きみと僕、こころとからだ、すこしずつ離れて同じ映画見てゐる
をんなにもをとこにもなる春の日の歌のなかにてきみを呼ぶとき
そのひとはもうこの世にはゐないひとFacebookにけふ誕生日
雪の春さくらのうへにわがうへにひと日かぎりの白をかさねて
たとへば樹たとへば海辺かへるべきところへかへりゆく月と星
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鏡の私小説 栗原 寛歌集 (短歌研究社ホームページ)
https://tankakenkyu.shop-pro.jp/?pid=170975913
共作のキッカケは、2月のこまみゆアイランズが終わってからのアフターとな中でした。
呑ミーティングで、4月にこまみゆ新企画ライブがスタートすることになり、初回ゲストに私をご指名頂いたのですが
(店主の認識とこまみゆのそれは若干違うやうですが、とりあへずここは主観を通すw)、
みゆきくんがまだ第四歌集で短歌曲を作っていないらしいので
ここに畑がある!
といふことで、第四歌集から短歌を選ばせて頂きました。五首、内容が繋がっているわけではないのですが、
なんとなく、順番もこのようにやりたいといふイメージがありました。
一首ずつ曲を作るのですが、わたくしフリーペーパー配達といふ副業がありまして、配達中に鼻歌で作りました。
鼻歌が浮かんだら自転車を止めてその場でボイスメモ。あとで、ピアノでキーとコードを決めていき、最終的に譜面に起こします。
いやー危ないですね。よいこは真似しないやうに。
最初はソロ初演の予定でしたが、
そこに歌人がいるではないですか!
といふことで、短歌の朗読を栗原せんせいにお願いしました。
でも、どうせなら、歌ってコーラスをつけてもらえないかしら、と欲がでてきて、
二首と五首にはコーラスで入って頂きました。
第四歌集は、少し翳りを感じさせるといいますか、私的には好みです。ユーミン的といいますか。結果、全体的にバラード中心になりました。以下、各論。
「きみと僕」
曲想は渡辺美里や大江千里を少し意識してます。都会的(クリスタル?)な哀しみを前後奏で表現してみました。
「をんな・をとこ」
唐突に昭和歌謡です。わは!ここはデュエットしたかったのだよねー。をんな担当栗原せんせい、をとこ担当だん。敢えてフェイク音域もとりかへばや形式(笑)
ハモリも栗原せんせいには、上に行ってもらってます。男女のユニゾンは不思議な効果を生み出すので、この2声バージョンとても気に入ってます。
ちなみに、「春の日の歌」の言葉連想で、合同曲はスピッツ「春の歌」を選んだのでした。
「そのひとは」
短歌のタイトルは私が決めたのですが、「誕生日」と云ふ言葉だとネタバレになっちゃうので「そのひとは」に。
Facebookといふ言葉に敢えてスポットを当てたかったので、マイ・フェイバリット・マイナー7thフラット5。
「白をかさねて」
思いついた当初は8beatの軽快なポップスでした。うーん爽やかすぐる。といふことで、3連バラードに。前後奏のピアノを必死にれんしうしました。
「月と星」
こちらの短歌は、歌集の最終短歌です。つまり大事な短歌だと思いましたので、いただきました!ぱく!
1番分をまるまるピアノインストにしたのは、カーペンターズの初期逸品「Sometimes」で、リチャードが一番分まるまるピアノを弾いて、2番から同じメロディーを
カレンさんが歌うのを見て、かっけえ!!!と思い、いつかこのスタイルで曲を作れたらと思っていましたが、
まさに今回がチャンスと。短歌ならサイズ的にインストでもなんとか自分の腕で成立でける!
まあ成立してるかどうかはともかく、海辺の大きなスケールをピアノで表現できていればいいなあ。
この曲も2声バージョンとても気に入ってるので、どこかで機会があれば再演したいです。
栗原せんせい、このたびは短歌使用許可および演奏へのご参加、ありがたうございました。ふかぶか。
栗原寛の言葉を曲にするといふことは、言葉の品格に随分と曲を寄せていくことができるナーと思いました。
さう。言葉に品格がある。これはまたのちに書くことになる「エンディング・テーマ」にも繋がることだと思います。